限定承認
人が死亡した場合、相続が開始します(民法882条)。そして、相続人は、相続を単純承認すると、被相続人の財産に属していた一切の権利義務を承継することになります。その結果、相続財産中、消極財産が積極財産より多い、すなわち債務超過である場合には、相続人は自己の財産をもって相続債権者に弁済しなければなりません。これでは相続人にとっては損となります。
一方で、相続放棄(民法939条)をした場合には、最初から相続人とならなかったものとみなされるため、相続財産を取得することはありません。相続放棄をした場合、債務を弁済する必要はなくなりますが、その代わりに、自己にとって利益となる財産を取得することもできなくなってしまいます。
単純承認するか放棄するか決めかねる場合に有効な選択肢なのが、限定承認(民法922条)をする方法です。限定承認とは「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して」相続を承認する旨の意思表示をいいます。
限定承認がなされると、相続財産中の積極財産から相続債務や遺贈が弁済され、清算手続きの結果、残った積極財産があれば相続人に帰属します。したがって、積極財産で弁済しきれなかった相続債務が残っていたとしても、相続人は弁済の義務を負いません。
限定承認は、相続人全員が共同して、家庭裁判所に財産目録を提出して申述し、家庭裁判所が申述を受理し、審判をすれば、成立します。
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