法定相続人の範囲
民法では被相続人との家族関係によって相続人を定められています。この相続人のことを法定相続人といいます。法定相続人は民法に規定されている相続分を受け取ることができる資格ということもできます。被相続人が遺言書を残さなかった場合は法定相続分に則り遺産相続がなされます。法定相続人であるからといって相続を放棄できないことはありません。法定相続人であっても相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月の期間の間に相続放棄をすることができます(民法915条1項本文)。
誰が法定相続人であるか、そして法定相続人間の相続分の順位はどうなるか、に関しては具体的な場合分けをする必要があります。原則、被相続人の子と配偶者は法定相続人になりますが(民法887条1項、890条)、ここでは法定相続人として①子(孫)・配偶者がいる場合、②配偶者なしの場合、③子(孫)なしの場合に場合分けして説明していきます。
①子(孫)・配偶者がいる場合
子・配偶者のみが相続人になり、それぞれの相続分は各2分の1になります(民法900条1号)。子が複数いる場合は2分の1の財産を子の頭分で分割した割合の財産を相続します。また、子が相続開始以前に死亡したり相続欠格事由(同法891条参照)に該当した場合はその者の子(非相続人の孫)が代襲して相続人になります(同法887条2項)。孫が法定相続人になった場合でも子と同等の相続分を得ることができます(同法901条1項)。
②配偶者なしの場合
被相続人に子(孫)がいる場合は、子が法定相続人となります。被相続人に子がいない、つまり独身の場合はまず直系尊属(被相続人の父母・祖父母など)が法定相続人となり(民法889条1項1号)、直系尊属がいない場合は被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります(同項2号)。このとき、相続分は均等に当分されます(同法900条4号)。
③子(孫)なしの場合
直系尊属がいる場合は配偶者と直系尊属が法定相続人となり、配偶者の相続分は3分の2とされ、直系尊属の相続分は3分の1とされます(民法900条3号)。直系尊属がいない場合は配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となり、配偶者の相続分は4分の3とされ、兄弟姉妹の相続分は4分の1とされます(同条3号)。
このように、法定相続人は子や配偶者の有無により範囲が変わってくるものです。また、相続分は記されているけれども、具体的な分割方法は民法では指定されていません。そこで、共同相続人全員で遺産分割協議を開き(民法907条1項参照)、遺産分割をする必要があります。
以上が法定相続人の範囲と相続のその後の流れになります。
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