駐車場での当て逃げ事故|対処法や過失割合について詳しく解説
スーパーなどの商業施設の駐車場では出会い頭での衝突事故やドアパンチなどの当て逃げ事故が発生することが多くなっています。
このような事故の場合には、警察に連絡をしなくてもいいと思われている方が多くいらっしゃりますが、実際には警察への報告義務があります。
この記事では当て逃げをされた場合の対処法や過失割合について詳しく解説をしていきます。
◆当て逃げをされた時の対処法
①警察への報告
上記で示した通り、当て逃げ事故が発生した場合には、警察への報告義務があります。
もっとも、スーパーや飲食店の駐車場やコインパーキングのような不特定多数の人が出入りするような駐車場に報告義務があるとされていますが、月極駐車場や個人所有の私有地にある駐車場の場合には、警察への報告は義務ではないものの、警察へ届け出た方がベターと言えるでしょう。
不特定多数の者が出入りする駐車場での事故を警察に報告しなかった場合には、道路交通法違反として懲役3ヶ月以下または5万円以下の罰金が発生します。
また、警察に報告をしなければ、加害者への損害賠償請求をする際に必要となる、「交通事故証明書」が作成されないため、注意が必要です。
②証拠の保全
警察に連絡をした後には、証拠の保全をする必要があります。
加害車両を目撃した場合には、車種やナンバーなどをメモします。
また、ドライブレコーダーの映像確認や上書き録画の停止を行いましょう。
ドライブレコーダーがない場合には、周辺に防犯カメラや他の車両にドライブレコーダーが設置されていないか、目撃者がいないかを確認しましょう。
そして、最後に当てられた箇所や現場周辺の写真を撮影しましょう。
これは加害者の「傷は当て逃げよりも後についたものである」、「被害者の駐車方法が悪かった」といった主張をされることを封じ込めるためです。
③保険会社に連絡
車の修理費用や代車費用は通常加害者側が支払うものとなりますが、加害者が特定できていない場合には、そういうわけにもいきません。
そこで、加害者が特定されるまでの間は自身の加入している保険会社の保険を利用することとなります。
ただし、車両保険を利用すると、保険の等級が下がり保険料が上がってしまうということもあるため、あえて車両保険を利用しない方もいます。
④加害者特定後は示談交渉で賠償請求
加害者が任意保険に加入している場合には、任意保険会社と示談交渉をすることとなります。
しかしながら、任意保険会社はなるべく支払う賠償額を最小限に抑えるために、独自に算出した賠償額を提示してくるため注意が必要です。
満足のいく賠償額を得るためには、弁護士に示談交渉を依頼し、裁判所が算出する基準と同等の額の賠償額を支払ってもらうことをおすすめいたします。
◆当て逃げの過失割合
当て逃げの過失割合は当て逃げがどのような態様かによって変わってきます。
・ドアパンチの場合
ドアパンチとは、車のドアを開けた時に、隣の車にドアがぶつかってしまうことを指します。
ドアパンチの場合の過失割合は基本的には被害者:加害者=0:10となっています。
しかしながら、被害者の駐車の仕方が異様に隣の駐車スペースに近寄っていた場合には、被害者にも過失が認められる場合があります。
・出庫する車と待機車の当て逃げの場合
こちらも基本的には、被害者:加害者=0:10となっています。
しかし相手方は被害者にも過失があると主張したり、賠償額を低く見積もることが多くなっているため、自身に過失がない場合であってもしっかりと示談交渉をすることが重要となっています。
・出庫する車と直進車の当て逃げの場合
この場合には、出てきた側:走行していた側=7:3となっています。
駐車場では出庫している車の運転手は周囲に対する注意義務が大きいものとなっているため、過失割合が多くなっています。
・入庫する車と直進車の当て逃げの場合
この場合には、駐車しようとしていた側:直進してきた側=2:8となっています。
・駐車場内で出会い頭での当て逃げの場合
駐車場内の出会い頭での衝突事故の場合には過失割合が5:5となっています。
そして当て逃げという悪質な態様であることが考慮された結果、被害者側の過失割合が5割以下となります。
西奈良法律事務所では、奈良県を中心に交通事故や相続などのご相談を取り扱っております。
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